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ロッドビルディング技術習得のススメ「フルリメイク編」

2021/09/28
  • 16,538 view
  • ロッドビルディング・カスタム

こんにちは。

タックルオフ工房の曽根です。

今回は、釣り人にとって、


ロッドビルディングの技術を身に着けると

こんなに色々なことができる!


といったテーマで書いてみました。

勿論、竿が作れるようになるということもありますが、それ以前に


お手持ちの竿の改造が、いとも簡単に
できるようになってしまうのですよ!


ということを知っていただくことが目的です。

お手持ちの竿というのは、今使っている物ばかりでなく


使わなくなった竿
折れてしまっている竿


こんな廃棄されそうな竿を、使えるように改造することも可能です。


こんなテーマでシリーズ化しようと考えてますが、いいネタが無いと書く気がしませんので…

これで終わりかもしれません。



ということで第一回目は


バスロッドのフルリメイク


これで行こうと思います!

この工程に、ロッド製作、改造、修理に関するほぼすべてが詰まっています。

いきなりハードル高いと思われるかもしれませんが、やる気とほんの少しの根性さえあれば誰でもできます!



ということで、素材を探しにリサイクルコーナーを物色。

出来るだけ派手に傷んで、安い竿が無いか探していると・・・




おお!ありました!

超格安!
2,000円のダイコー「カリスマスティック」!




よく見ると、「先詰め、元ヅメ」と書いてあります。



確かに異様に短くなっているし・・・



30cm程折れているようで、折れた部分にガイドを接着したのが分かります。



リアグリップも短くしたようで、バットエンドの面が合ってません。



ガイドのコーティングの損傷も激しいですね。

ということで、私的には

とってもいい素材を見つけることができました!

タックルオフはリサイクルとロッドビルディングパーツの売り場です。

実は

「リサイクルロッドも素材の一つ」

という考えのもと立ち上がっています。

普通の人から見ればジャンク品の様な竿でも、ロッドビルダーから見れば、

宝のような素材が埋まっていることもあります!




ということでここからは、この竿のリメイク工程をご紹介していきますね!

とりあえずガイドを全部外していきます。

トップガイドの取り外し方は、以下ページより動画にてご確認いただけます。

https://www.youtube.com/watch?v=Bly7DBHRKZo



コーティングされたガイドの取り外し方は、以下ページよりご確認いただけます。

https://www.youtube.com/watch?v=Ddl229bnkic



今回はブランクも塗装し直す為、取り外し跡を綺麗にする必要はありません。



次にグリップ周りです。

まずはリアのコルクグリップをサクッと除去。



次にパイプシートも破壊!

使っているのはアクリルカッター(Pカッター)です。



パイプシートの破壊は、以下のページより動画がご確認いただけます。

<グリップ破壊/パイプシート取り外し/DPSタイプ>
https://www.youtube.com/watch?v=EeZxQc8ilK4

<グリップ破壊/パイプシート取り外し/トリガータイプ他>
https://www.youtube.com/watch?v=cF6P7k-vgqk&t=83s



コルクの残りも綺麗に取り除きます。

ヒートガンを軽く当てて、カッターの刃を垂直に立てることで、簡単に落とせます。

目に見えないカーボン繊維が刺さる為、手袋をした方が無難です。



パイプシートの底上げ材です。

これも綺麗に取り除きます。



これでグリップ周りはすっきりしましたね!



次にブランクの塗装も剥がします。

当店ではカッターの刃を使用して剥がします。

ブランクの太い部分では、ヒートガンを使用した方が軽い力で除去できます。

またブランク塗装に使用されているウレタン塗料をも溶かす「塗料剥がし液」もあります。

上手く使えば非常に便利ですが、使い方を誤るとブランク自体の樹脂をも傷める可能性があります。

機会があれば、また使用方法を紹介させていただきます。

ちなみに、ホームセンターで比較的容易に購入できる、塗料剥がし液のほとんどは、ウレタンを溶かすことができません。



今回ネーム部分は残しました。

全部取ってしまうと、何の竿の改造かわからなくなるので・・・

またバット部分のメタルパーツも綺麗だったので、そのまま再利用することにしました。

これを外す場合は、ベルトサンダーを使用しています。

素材はアルミの為、慣れれば簡単に削ることができます。

ガイド外しからここまでの作業は、慣れれば1時間もかかりません。



さて、折れて短くなっているままでは使いずらいので、

ソリッドカーボンをつないでいい調子にしましょう!



一般的にソリッドチューンと呼ばれています。

折れてない竿でも、あえてソリッドティップに変更し、好みの調子にすることもあります。

ソリッドチューンのやり方は、以下ページより動画が確認いただけます。

https://www.youtube.com/watch?v=TC-El2Vk2Jk



ティップの先端内径を、ヤスリで加工します。



ソリッドを合うように逆テーパーに加工します。

ここでは旋盤機を使用していますが、もちろん手作業でも十分可能です。



こんな感じで、ほぼ面が合うように加工できました。

指先の部分が繋いだ箇所です。



はい出ました!

皆さん大好きカーボンロービング!(笑)

口割れしないよう、これでしっかり補強します。

勿論スレッドでも構いません。

この後エポキシを染み込ませ、テープで締め上げて硬化させます。

※カーボンロービングは当店で取り扱いはございません。



ここでフロントグリップの加工です。

今回はKDPSタイプで、ジャストエースさんのメタルパーツを使用します。

最近気が付くとこのパーツばかり使っています・・・



メタルパーツに合うように、カットします。



こんな感じで組む予定です。



リールシート本体はVSSを選択しました。

ネジ山部分はデザインを考え短くカットしました。

これは手持ちのリールに合わせるのが一般的ですね。

このネジ山部分のカット方法の動画もございます。

よろしければご確認ください。

https://www.youtube.com/watch?v=Ob1z5243cbw



繋いだ部分です。

写真はロービング硬化後、表面をヤスリで処理したものです。



試しに曲げてみましたが、いい感じに調子が出てます。

オリジナルより先調子でしょうね。

つなぎ目も綺麗に曲がってくれて一安心です。



さてブランクの塗装です。

画像は下地のプラサフを塗装したものです。

当店では2液ウレタン塗料をガン吹きしてますが、


そんな道具無い!

という方が殆どかと思います。

そういう方の為に、


手軽な缶スプレーでの塗装方法を紹介しています。

こちらは動画でなく、ブログです。

https://www.ishiguro-gr.com/blog/detail.php?id=11075

缶スプレーでも、スプレーガンに迫る仕上がりが期待できます。

よろしければご参考ください。



今回は艶消しのマットブラックにしてみました。

リールシートも同色で塗装しました。



ではグリップ周りの組立をしていきましょう!



パイプシート、EVA、コルクグリップの取付方法は以下動画でご確認いただけます。

<パイプシートの接着方法>
https://www.youtube.com/watch?v=WiNSmFiqs9s

<EVA・コルクグリップの接着>
https://www.youtube.com/watch?v=SBnNZokcchk&t=37s


フロントは、残しておいた純正の金属パーツがチラッと見えるようにセットしました。



リアグリップとセパレート部分の金属パーツ、バットエンドを取り付ければ・・・



グリップ周りの完成です!



後はガイドの取付です。

ソリッドティップを取り付けたのと、最新のガイドシステムに変更になった為、

新たにガイドセッティングも変えました。




ガイドのスレッド巻きに関しては、いくつか動画を配信してあります。

以下よりご確認いただけます。

<スレッドの巻き方/基本編>
https://www.youtube.com/watch?v=y8fuaglEjGk

<スレッドの巻き方/抜き糸処理編>
https://www.youtube.com/watch?v=fVxf-FujMhA

<スレッドの巻き方/ガイド取付基本編>
https://www.youtube.com/watch?v=XmqmGb03yrw

<スレッドの巻き方/飾り入れ基本/ピンライン編①>
https://www.youtube.com/watch?v=suoWI8NIJaA

<スレッドの巻き方/飾り入れ基本/ピンライン編②>
https://www.youtube.com/watch?v=Q3BlS3dzreM&t=13s

<スレッドの巻き方/飾り入れ基本/螺旋巻き編>
https://www.youtube.com/watch?v=DdACNWdYTi4



ガイドがまっすぐか、確認しましょう。



ネーム部上下の飾りも巻き直しました。



セパレート部にも、同様の飾りを入れてみました。



後はコーティングをかけるだけです。

ガイドのコーティング方法は以下動画よりご確認いただけます。

<ガイドのコーティング方法>
https://www.youtube.com/watch?v=qfX7pONH9gk



これで完成!



・・・と思ったのですが、

2ピース化しようと思っていたのをすっかり忘れていました!



ということで、サクッとカットして・・・



印籠芯を削って・・・



芯完成!



接着します。



口部分は必ず補強が必要です。

今回はスレッドのみですが、カーボンロービングで補強すると、より丈夫になります。


勿論2ピース化のやり方動画もありますよ!

よろしければご確認ください

https://www.youtube.com/watch?v=L9o9EDOYL6M



これでホントの完成!

センターカットの2ピースロッドに改造です。

元々6フィート3インチのロッドでしたが、ちょっと長くなり6フィート5インチとなりました。

繋ぐソリッドの長さを変えれば、全長もほぼ元の長さに戻せたかと思います。



手持ちのリールに合わせた色にできることも、ロッドビルディング良いところ。

取り付けた時のフロントフードの位置も、ネジ山が隠れる位置でセットできます。



実際に糸を通して曲げてみました。

矢印の部分が、ソリッドを繋いだ箇所です。



違和感なく綺麗に曲がってくれました。



このフルリメイクしたロッドは、


イシグロ中吉田店店頭に展示してあります。

他にも数点展示してありますので、お立ち寄りの際にはぜひご覧ください。




いかがでしたでしょうか?

ちなみに今回のフルリメイクに使用したパーツは、中古のロッド(税込2,200円)含め

税込22,017円となります。


また今回行った作業を当店にご依頼頂いた場合の工賃は、おおよそ以下の通りとなります。


 ガイド交換/20,350円

 グリップ交換/11,660円

 ソリッド繋ぎ/7,700円

 ブランク塗装/8,000円

 パイプシート塗装/2,750円

 バット部、セパレート部の飾り巻き直し/8,250円

 2ピース化/8,800円

 税込合計/67,510円
 ※実際は若干の誤差がございます。


パーツ代入れれば、トータルで
ほぼ9万円ですね・・・


フルリメイクは、現状ついているパーツや塗装を外す、剥がすといった作業がある為、高額になりがちです。

むしろブランクからのフルビルドの方が安くなることが殆どです。

しかし問題はそこではなく、作業を私たちのような業者に依頼するのではなく、


自分でやれば工賃はタダ!

ということです。

つまり


67,510円浮く!

ということになります。

難しそうに見える作業も実際は、ご自宅でできるものばかりです。

勿論、コーティングにはモーターが必要だったり、グリップ周りの破壊、組み立てにはある程度の工具が必要になります。

しかしどれも当店や、ホームセンター、100均等の身近なショップで手に入る物が殆どです。

最低限のツールはおおよそ1万円程で揃えることができます。

しかも、


67,510円浮いているので、
余裕で購入できるというわけです!(笑)

さらに作業に関するご不明な点は、ビルディングパーツを取りそろえているイシグロ店舗や、当工房までご連絡いただければサポートいたします。

まずはお手持ちの不要になったロッドや、破損しているロッドを、思いっきりバラしてみるのもいいかと思いますよ。

是非チャレンジしてみてください!


当工房へのお問い合わせは、以下ページのフォームよりお願いいたします。


https://ishiguro-onlineshop.com/stores_tackleoff_ws/


曽根流!ロッドビルディング動画ちゃんねる

こちらのページでは、「竿を自分で作りたい」「竿を自分で改造したい」けれども方法が分からない・・・・
そんな声を非常に多く聞きます。そこで、ロッドビルディングの作業方法の動画を集め一覧にしました。
こちらの動画を作業の参考にして、ロッドビルディングにチャレンジして下さい♪

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